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このページは、【Marketing】【Tasting】【Wine Talk】の3つのセクションに掲載されています。


 試してみたいぶどう品種のワイン、あれこれ 【その1】


 皆さんはいつもどんなワインをお飲みになって、あるいはお売りになっているでしょうか。ワインのマーケットを見てみますと、やはり圧倒的にカベルネやメルロ、シャルドネといった、いわゆる国際品種と呼ばれるぶどうから造ったワインが人気のようです。

 今回は、普段あまり飲む機会がないけれども、何かの折に試してみると面白そうなぶどう品種のワインをいくつか挙げてみたいと思います。これらのワインは、販売者側もお客様への良い提案材料となるでしょう。


赤ワイン編




マルベックの収穫(写真上)と
収穫されたマルベック(写真下)

【写真】
西オーストラリア Mountford Winery
(1列だけマルベックが植えられている)

◆アルゼンチンのMalbec(マルベック)

 マルベックといえば、フランスのカオール(Cahors)が思い浮かぶかと思いますが、今ではマルベックといえばアルゼンチンと言われるほどになってきています。

 カオールのマルベックは伝統的に、非常に黒く強烈で、堅く、タンニンが強いという特徴を持っていますが(近年は少し柔らかなタイプのものも見られます)、アルゼンチンのマルベックはそれに比べ、コクはあるもののもう少し穏やかなタイプが多いようです。

 しっかりした赤をお好みの方には選択肢のひとつとなるでしょう。


◆チリのCarmenere(カルメネール)

 カルメネールというぶどう品種は、おそらくは今のところ日本ではあまり聞きなれないのではないかと思います。もともとカルメネールはボルドーで栽培されていたボルドーの6大ぶどう品種のひとつでした。

 ところが、1860年代の例のフィロキセラ禍(Phylloxera)でボルドーのカルメネールは全滅してしまい、その後ボルドーからはほとんど姿を消し、現在に至っています。

 チリのカルメネールは、フィロキセラ以前にボルドーから渡ったものが、生き延びていたのです。このぶどうが、先のアルゼンチンのマルベックと同様に、今や遠く海を渡ったチリで花を開かせつつあります。

 カルメネールのワインは一般的に、カベルネソーヴィニオンに比べて、タンニンはよりソフトで穏やかな印象です。何かしら深みの中にエレガントさ、高貴さを感じさせるワインが多いと思います。

 チリでは、カルメネール単一のワインやカベルネソーヴィニオンとの混醸もあり、チリワインのフラッグシップとして育てていこうとしている品種です。


◆カリフォルニアのZinfandel(ジンファンデル)

 ジンファンデルは日本でも名前は知られています。しかしよく飲まれているかというと、そういうわけでもないでしょう。

 現在ジンファンデルと呼ばれているこのぶどうは、もともとヨーロッパ品種で、今のクロアチアあたりが原産です。イタリアではPrimitivo(プリミティーヴォ)と呼ばれています。

 ジンファンデルは一般には、がっしりとした少し野暮ったいワインととらえられているかも知れませんが、実際はぶどうが育つ環境、造り手の手法などで出来上がるワインの個性はかなり変化します。

 たとえばよくジンファンデルには甘い香りがあると言われますが、あれはぶどうから来るものではなく、樽の使い方から来るものです。

 ジンファンデルはワインの造り手によって個性が違い、ばらつきがあると言えますが、良いジンファンデルにめぐり合ったときは、それまでのジンファンデルのイメージを一変させるかもしれません。


◆南アフリカのPinotage(ピノタージュ)

 ピノタージュという品種はあまり聞かない品種だと思います。ピノタージュは南アフリカで1920年代にPinot NoirとCinsault(サンソー)を掛け合わせてつくられた品種です。

 ちなみにピノタージュは、Vitis vinifera(ヴィティスヴィニフェラ)同士のかけあわせであるので、ハイブリッドではありません。

ちょっとコラムーハイブリッドとは

ハイブリッドとは、Vitis属の違うグループのぶどう品種、たとえばVitis rupestrisやVitis ripariaなどに属するぶどう品種を掛け合わせてつくられた新品種のことを言います。


 ピノタージュのワインは、よくスモーキーな感じや土臭さをその個性として持ちますが、バナナやトロピカルフルーツの個性を持つこともままあります。ピノタージュは、ピノノワールとサンソーの掛け合わせですが、ピノタージュからその親の個性が検知できるかというと、それは難しいと思います。

 ピノタージュに関しては、カベルネソーヴィニオンやメルロ、ピノノワールなどの高級種には遠くおよばない2級品だという批判もありますが、たしかに凡庸なワインに出くわすこともあるのですが、十分楽しめるワインが多くあるのも事実です。

 現状日本では、比較できるに足るほどピノタージュは多く輸入されていませんが、是非日本にも良質なピノタージュがたくさん輸入されることを望みます。私は日本ではピノタージュは受けが良いのではないかと思っています。


◆イタリアのAglianico(アリアニコ)

 イタリアを代表するぶどう品種といえば、何といってもNebbiolo(ネッビオーロ)とSangiovese(サンジョヴェーゼ)でしょう。その優秀性は万人の認めるところですが、私はAglianico(アリアニコ)というぶどうは、両者に匹敵するほどの潜在力を秘めた品種ではないかと考えています。

 生産地域はイタリア南部のカンパニア(Campania)、バジリカータ(Basilicata)で、イタリアのワイン産地としては思い浮かべづらい地域でもあります。

 しかしこのワインは、集中力を持ち、長期の熟成のポテンシャルを持った上質のワインになる力を持っていると思います。若いうちは、タンニンの強さを感じますが、年を経るとよりバランスがとれ、深い味わいを楽しめます。

 DOCGであるTaurasi(タウラージ)のワインを探すと良いでしょう。Taurasiのいくつかの生産者は、非常に良いAglianicoを造っています。最近では、カベルネソーヴィニオンなどとのブレンドも見られるようになっています。


◆スペインのTempranillo(テンプラニーヨ)

 テンプラニーヨはスペインを代表するぶどう品種で、とりわけリオハ(Rioja)でつくられるワインは有名です。

 テンプラニーヨは、深い味わいと集中力を持った非常に優れたぶどうで、世界を代表する高貴種のひとつとして取り上げられるのに全く異論ありません。私はとりわけ日本では、このぶどうから造られるワインにあまり大きな関心が払われていないことを、かねがね残念に思っています。

 スペインは世界有数のワインの大産地ですが、これまでワンランク下に見られてきたのは事実でしょう。しかしながらここへ来て急速にワインの品質が向上しています。スペインにはさまざまなぶどう品種があり、それぞれの個性を発揮していますが、一度テンプラニーヨを試してみてはいかがでしょう。

 蛇足ですが、突然変異で生まれたと見られる白のテンプラニーヨが、最近一部で話題になっています。


 今回はいくつかお薦めしたい赤ワイン品種を挙げてみました。ほかにもお薦めしたい品種は多くありますが、機会を別にすることに致しましょう。

 ここに挙げたぶどう品種から造られた個別のワインのすべてが良い、と言うわけではありません。ですからワインをお仕入れになる際には、ぜひ試飲をしたうえでお選びいただきたいと思います。

 消費者の皆様は、ワインを試飲をして買うということは通常は困難だと思います。ですが、そのお店で買うワインが、いつもあなたをがっかりさせないワインばかりなら、そのお店はとてもよい店です。いつもあなたの好みに合うワインを薦めてくれる店だと思います。

 初めて試すワインをお買いになるときには、是非そのお店にご相談されると良いと思います。

(伊藤嘉浩 写真とも 2009年1月)


■ 試してみたいぶどう品種のワイン、あれこれ 【その2】 白ワイン編にはこちらからどうぞ



【関連ページ】

『 試してみたいぶどう品種のワイン、あれこれ 【その2】』

『ワイン用ぶどう品種を探訪する』

『ぶどうのとれる場所とワインの個性』
『消費者のワイン選びのよりどころーぶどう品種別陳列のすすめ』
『ワインの購入で消費者が抱える大きな不満』
『ワインの『同質化』の議論を考える』
『過小評価されがちなワインたち』

『白のテンプラニーヨに可能性 【スペイン】』

『シャルドネを風味別で品揃えしてみる』
『ソービニオンブランを風味別で品揃えしてみる』



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